堺総合法律事務所

 

事件ファイル


直ちに議員立法による再審法改正を

弁護士 井上耕史

 一昨年9月の袴田事件、昨年7月の福井事件と、相次いで再審無罪判決が下されました。これらの再審判決では、警察による証拠の捏造、検察による証拠隠しが厳しく批判されています。しかし、犯人とされた袴田さん、前川さんは、冤罪を晴らすまでに何十年もの人生を費やすことを余儀無くされ、失われた時間は返ってきません。

 

現行再審制度の不備

 

 当事務所も参加する国民救援会堺支部では、昨年10月に福井事件弁護団の吉川健司弁護士による講演会を開催しました。

 講演会では、福井事件について、第一次再審申立ての時に開始決定が出されたにもかかわらず、検察官の不服申立てにより決定が覆されたこと、第二次再審申立手続の中で検察官が隠していた捜査報告書などを開示させたことが、再審開始決定・再審無罪判決の決め手となったことが報告されました。

 そして、現行の再審制度には検察官手持ち証拠の全面的開示規定がないこと、再審開始決定が出ても検察官の不服申立てにより決定が覆され得ることが、再審事件の長期化の原因であることが指摘されました。

 

 再審法改正をめぐる情勢

 

 こうした再審法制の不備を正すべく、全面的証拠開示や再審開始決定に対する検察官上訴禁止等を盛り込んだ再審法改正法案が、昨年7月、議員立法として国会に提出されています。

 これに対し、法務省の法制審議会では、証拠開示の範囲の制限や、検察官の不服申立てを認める方向での改正議論が進められています。このような法改正がなされてしまえば、再審制度を良くするどころか、現状より後退し、再審の扉を閉ざしてしまう危険があります。

 法制審は、事務局を法務省(検事)が担い、議論をする部会員は検察・警察関係者やそれに追随する学者が多数を占めています。そのため、法制審では本来求められる法改正は期待できません。

 

冤罪被害者救済のための再審法改正を実現しよう

 

 この便りが皆様の手もとに届く頃にどのような情勢になっているか、全く予断を許しません。

 冤罪被害者を早期に救済するための再審法制を実現するためには、議員立法による再審法改正法案の速やかな審議・可決が必要です。そのためには、世論の後押しが必要です。署名活動、集会参加、投稿など、世論喚起へのご協力をよろしくお願いします。

 


 
 
 
117119   | 目次 |