弁護士 辰巳創史
大阪市の所有する「夢洲」にカジノ・IRが造られようとしています。
カジノ・IRを巡っては,すでに3つの住民訴訟が提起されており,これ自体が異常なことです。
1つ目の住民訴訟は,当時の松井一郎市長が公費負担はゼロだと言っていたにもかかわらず,市がカジノ・IR用地として貸し出す夢洲の土壌対策費として約790億円を負担することの差止等を求める訴訟です。
2つ目の住民訴訟は,約790億円も公費を負担するにもかかわらず,カジノ・IR用地の賃料が「激安」であり(1㎡あたりわずか428円,月額約2億1000万円),そのような激安賃料での貸し出しを差止める住民訴訟です。私は弁護団員として,このふたつ目の住民訴訟に参加しています。
なぜそのような安い賃料になったかというと,賃料については専門家である不動産鑑定士の所属する鑑定会社に鑑定を依頼しているのですが,2回鑑定を行った結果,1回目の鑑定では4社中3社が,2回目の鑑定でも3社中2社が428円/㎡という全く同じ鑑定結果を出しているのです。このこと自体「奇跡の一致」でもありえないことですが,訴訟の継続中に,大阪市と鑑定業者の隠ぺいメールが発覚し,大阪市の関与のもと,鑑定業者がカジノ・IR用地としての賃料の鑑定という目的に反して,「IRを考慮外」として,イオンモール見合いの賃料として鑑定し,最寄り駅も「夢洲駅」ではなくコスモスクエア駅にすることなどを示し合わせていたことがわかったのです。
3つ目の住民訴訟は,すでに夢洲ではカジノ・IR用地の液状化対策工事が行われているのですが,その間無償で土地を貸し出していることが違法であるとして賃料の支払い等を求める訴訟です。月間約2億1000万円の賃料自体,すでに述べたとおり「激安」であるにもかかわらず,工事の間は「タダ」で貸しているのですから,本当に怪しからん話です。
そして,私たちはさらに4つ目の住民訴訟を提起しました。
信頼できる鑑定士さんにカジノ・IR用地として適正な賃料を鑑定してもらった結果,少なくとも月額約4億7000万円が妥当であり,大阪市が締結した約2億1000万円の賃料では半額以下である,借地権の期限である2058年まで貸し出すとすると,約1046億円もの損失が大阪市民に発生することが明らかになりました。この損害は,当時の松井一郎元市長,横山英幸現市長,大阪港湾局長,違法な利益を得るカジノ業者,違法な鑑定をした鑑定業者,鑑定士たちが連帯して払えという住民訴訟です。
カジノ・IRを巡っては,問題だらけであり,これからも新たな住民訴訟が提起される可能性があります。
大阪にカジノいりますか?