堺総合法律事務所

 

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労働基準法をどう見直すのか?

弁護士 村田浩治

厚労省は、2024年1月に、労働基準法の見直しをすることを目的として「労働基準関係法制研究会」を設置しました。「新しい時代の働き方」に応じた労働基準法の見直しをすると打ち出しています。しかし、労働基準法という働く者の「最低基準」を示した法律をどう変えようとしているのか見過ごせない話です。

 雇用(労働)契約は、ともすれば、生活のために力の強い雇う側の出す不利な労働条件を働く者が押しつけられがちです。そのため労働条件の最低基準を決め、違反した使用者には懲役刑を含む刑罰で守らせようとしている強力な法律が労働基準法なのです。

 しかし、この設置された研究会には、これまで審議会であれば必ず委員になっていた働く者の代表委員がいません。研究会では労働基準法の適用を受ける「労働者」とはどんな人にするのかという抽象的な議論や、その一方で、週40時間等の労働時間の規制を労使(労働組合と使用者)合意で適用を除外できる制度の導入など大変具体的な提案が議論されています。このままでは、抽象的な議論は決まらないまま、労働時間の規制緩和だけが意見となりかねません。

 労働時間の規制の緩和は、過労死がいまだに続き様々な職種に及んでいる日本の実態に照らせば、賛成できるはずがありません。労働基準法の見直しをするなら、労働時間を短縮させるための規制の強化と共に、普通の法整備が必要です。例えばコロナ禍で、一気に仕事がなくなった人たちの中でフリーランス」という形で働いている人がたくさんいることが分かってきました。出版の編集や、音楽講師、英語教師やルート営業等、同じ会社で続けて仕事をしているのに労働契約を締結しないまま、会社と「個人事業主」として契約している人がたくさんいることが分かってきました。このような人は、労働契約をしている人と違って、社会保険もすべて個人負担、失業保険も労災保険ももらえず、傷病手当ももらえません。こういう人に労働基準法や社会保険の適用を受けられるような法整備こそが今必要な検討課題でしょう。

 最近、スマホを使ってスキマ時間に稼げる「スキマバイト」という働き方が増加し、登録者は2500万人に達しています。スキマバイトは短時間の細切れ契約なので、社会保険に加入せず、必要な時だけ仕事をさせて、継続的な雇用責任を負わない使用者にだけ有利な契約と言えます。正社員の副業の場合は週40時間の労働時間規制を超えて働き割増賃金ももらっていない可能性が高いのです。

 「新しい働き方」に応じて労働法制を見直すのならば、労働基準法をこうしたフリーランスや細切れの雇用に適用できるように改正し、雇用主の責任逃れを許さない法律の強化をすべきです。働く者の保護を強化し、最低賃金を増額しスキマ時間は余暇を楽しむ生活が出来るように労働法制を整備強化することが必要です。

 

 


 
 
 
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