堺総合法律事務所

 

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弁護士 脇山美春

 

 私の所属する生活保護基準引下げ違憲訴訟原告ら弁護団が、2021年2月22日、大阪地裁で勝訴判決を勝ち得ましたので、そのご報告をいたします。

1 事案の概要

 厚生労働大臣は、2013年から2015年にかけて、生活保護法による保護基準を改訂(本件改訂)し、これをうけて各市町村は生活保護利用者の保護費を減額する旨の保護費変更決定(本件処分)を行った。原告らは、本件処分が憲法25条、生活保護法3条、8条2項に違反する違憲・違法なものであり、各市町村に対して本件処分の取り消しを求めていた。

2 判決の概要

 裁判所は本件の争点を、「本件改訂にかかる厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱・濫用があり、処分が生活保護法3条、8条2項に違反したといえるか」と設定した。そのうえで、厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱・濫用の有無は、「最低限度の生活の具体化にかかる判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無」から判断されるとし、その判断にあたっては、判断過程での「統計等の客観的な数値などとの合理的な関連性や専門的知見の有無等について審査される」とした。

 そして、本件改訂では①特異な物価上昇の見られた平成20年を基準として物価の下落率を考慮し②厚生労働省が独自に算定した生活扶助相当CPIを前提として物価の変化率を算出して、生活扶助基準額を一律に4.78%減額する調整(デフレ調整)を行っているが、①平成20年を基準としたこと②生活扶助相当CPIはいずれも専門的知見を欠き、統計等の客観的な数値等との合理的関連性を欠くものであるから、①②をもとに生活扶助基準額を減額した判断の過程及び手続には、「最低限度の生活の具体化という観点から見て」過誤、欠落がある、と認定し、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があって違法だと判断した。

 


 
 
 
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