弁護士 岡崎守延
はじめに
近時、民法の重要な部分の改正が、相次いで行われました。この中で、特に普段の生活に影響のありそうなものを幾つかご紹介します。
1.配偶者居住権の保護(民法第1028条)
2020年(令和2年)4月1日より、相続の際における「配偶者居住権の保護」の制度が新設されました。
「配偶者居住権」とは、被相続人の配偶者が、被相続人所有の建物に居住していた場合に、相続開始後も無償で居住し続けることができる権利ということになります。
この配偶者居住権によって、例えば夫死亡において、子供が相続した家に妻が居住している場合に、妻は賃料などを支払わずにその建物に住み続けることが出来ることになります。
但しこの居住権は、遺産分割の割合を決めるときには、妻が相続した財産の中にカウントされることになります。
2.自筆証書遺言の方式緩和(民法第968条)
遺言者が自筆で作成する方式の遺言書(自筆証書遺言)において、財産目録を添付する場合に、これまではその財産目録も自筆で作成する必要がありましたが、2019年(平成31年)1月13日より、財産目録部分のみをパソコンで作成することが可能になりました。但し、その目録部分に署名押印が必要となります。
3.債権の消滅時効期間の変更(民法第166条)
これまでは、例えば貸金などの債権は、原則10年が消滅時効期間とされていたものが、2020年(令和2年)4月1日より、消滅時効期間は「権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間」と変更されました。
この変更は、これまでより時効期間が半分になるもので、かなり影響が大きいものになります。
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その他にも、改正による変更点は多方面に及んでいますが、実際に問題が起きた時は、遠慮なく当法律事務所にご相談ください。