堺総合法律事務所

 

事件ファイル


HPVワクチン薬害訴訟

弁護士 脇山美春

私が参加している、HPVワクチン薬害訴訟のことをご紹介します。

HPVワクチン薬害訴訟とは

 HPVワクチン薬害訴訟は,「子宮頸がん予防ワクチン」とのふれこみで接種されたHPVワクチン(サーバリックス・ガーダシル)によって、全身の疼痛、知覚障害、運動障害、記憶障害等の深刻な副作用被害を受けた被害者らによる訴訟です。

 製薬会社2社(グラクソ・スミス・クライン社,MSD社)及び国を被告としています。2016年7月27日に全国4地裁(東京,名古屋,大阪,福岡)に一斉提訴をし,同年12月14日全国2次提訴,2019年7月19日東京地裁・大阪地裁3次提訴をしました。これにより,全国の原告数は132名となりました。

 HPVワクチン薬害訴訟が従来の薬害訴訟と大きく異なる点は,いまなお世界的に販売が続いているワクチンについての訴訟であるということです。それゆえ,製薬会社は被害を認めようとせず,むしろ接種の積極勧奨再開への働きかけさえ行っています。

 しかし、被害者たちはいまだに苦しみ続けています。

 お母さんのことがわからない、杖なしでは歩けない、まぶしくてサングラスなしでは生活できない。そんな症状をかかえたままの被害者がいます。

 提訴から3年を迎えた今、中高生の時にワクチン接種を受けた被害者の多くは、就職活動をすべき年齢を迎えています。彼女たちは圧倒的なハンディを抱えたまま、なんとか社会に出ようと、奮闘しているのです。

 将来にわたって、医療や生活全般の面で、安心して生きていけるようにすること、また、真相を明らかにして被害をくりかえさないようにすること。被害者たちはこの願いをかなえるために、裁判をたたかっています。

大阪訴訟について

 大阪訴訟の期日は、被害者による意見陳述から始まり、原告・被告双方のプレゼンテーションが行われております。

 被害者の皆さんの、自分の被害を訴えながらも、ほかの苦しんでいる人を助けてほしいという気持ち、そして未来に希望を抱いている姿は、期日に参加した人の胸をうちます。

 また、私たち原告弁護団は、期日に提出した書面の内容をわかってもらうため、イラスト・アニメーションを使用したパワーポイントを用いたプレゼンテーションを行っています。

 被害者たちのたたかいは、まだ終わりません。興味を持たれた方は、ぜひ大阪訴訟の期日をのぞきに来てください!


 
 
 
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