堺総合法律事務所

 

事件ファイル


法律相談ー「父の生前に不動産の名義が書き替えられていたケース」ー

弁護士 岡崎守延

問.父が昨年に亡くなり、そろそろ遺産相続の手続をしようと思って調べてみますと、すでに父の生前に、自宅の土地建物の登記名義が兄に変わっていたことがわかりました。

 兄に事情を尋ねても、内容を教えてもらえず、困っています。

 私には何の権利も認められないのでしょうか。

答.お父さん名義の不動産がお兄さんの生前に名義変更されている理由としては、大きく二つの可能性が考えられます。

 一つはお父さんの意思で名義変更された場合と、もう一つはお兄さんが無断で名義変更した場合です。

問.父が自分の意思で名義変更した場合には、私の立場はどうなりますか。なお、父の相続人は私と兄の二人だけで、父の財産は不動産以外にはありません。

答.その場合は生前贈与ということになりますが、それによって相続人が遺産を受け取れない場合には、遺留分という権利が保証されています。遺留分の範囲は本来の相続分の2分の1とされていますから、お兄さんに対して、あなたの本来の相続分の2分の1、つまり不動産の4分の1の権利を請求できる可能性があります。

 但し、遺留分は生前贈与を知ってから1年以内に請求する必要がありますので、注意してください。

問.兄が父に無断で土地建物の名義変更をしていた場合にはどうなるのでしょうか。

答.その場合には、お兄さんへの名義変更は完全に無効ですから、それを否定することができます。

 ですから、土地建物は依然としてお父さんの遺産となり、あなたはその2分の1の相続権を主張することができます。

問.兄は、私が請求してもとても応じそうにありませんが、どうしたらよいでしょうか。

答.兄弟の話し合いでの解決が難しければ、裁判所の力を借りることになります。内容によって、家庭裁判所の調停或いは地方裁判所の訴訟が考えられます。

問.わかりました。もう少し事情を調べてから、また相談に参りますので、宜しくお願いいたします。

 


               

 


 
 
 
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