堺総合法律事務所

 

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法律相談

弁護士 平山正和

Q 父が、遺産の全てを長男である私に相続させるという遺言公正証書(遺言1)を作って私が預かっていました。ところが、長女が父死亡直前に拉致するようにして父を連れて行き、老人ホームに入れて、まもなく父が死亡しました。
長女は、遺産分割協議の際に、長女にすべての遺産を相続させるとする自筆の遺言書(遺言2)を提出して、すべての遺産を取得すると主張しました。
A 二つの遺言の作成日付はどうなっていますか。
Q 長女の遺言2の作成日付が、遺言1よりも後の日付になっています。
A 遺言は、最後に作成したものが有効となります。したがって、遺言1は無効となります。
  しかし、遺言2は、死亡直前に、老人ホームに入所する状態で作成されていますし、自筆ですから公証人や証人などによる確認がされていませんので、意思能力があったか、父親が任意に作成したかなど、効力が問題になる可能性があります。
遺言2が無効となった場合には、遺言1が有効となります。
また、仮に、有効だとした場合、長男は遺留分権にもとづき、遺産の4分の1につき減殺請求をして取り戻すことができます。この遺留分減殺請求権は父の死後1年以内に請求しなければ消滅しますので注意が必要です。
Q どうすればよいでしょうか。
A 以上のように、遺産の範囲、遺言2の効力、遺留分減殺請求など、遺産をめぐって法律的に複雑な問題がありますので、遺産の内容等を整理したうえで、弁護士に相談して方針をたてた方がよいでしょう。

 

 


 
 
 
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