弁護士 辰巳創史
2013年5月24日,「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が成立しました。
マイナンバー法は,すべての国民,外国人住民,法人に対し,年金,医療,介護保険,福祉,労働保険,税務等の税と社会保障に関わる各行政分野に共通して利用される識別番号(共通番号)を付番し,情報の名寄せ・統合(データマッチング)をし,併せて本人確認を行うものです。データマッチングの対象となる情報は,市民生活の全般(税務分野においては私人間の取引も含まれる。)に及ぶ極めて広範囲にわたるものであり,政府は,個人に付された番号により,住所,氏名,年齢のみならず家族構成や病歴などのセンシティブ情報,収入や資産などの財産情報までをも,一望して管理することが容易になります。
マイナンバー法は,政府による個人情報等の一元管理化を強めるものであり,憲法13条の保障するプライバシー権を侵害し,監視国家を出現させるものです。マイナンバー法は特定秘密保護法とセットで,戦争する国づくりに向けた国家による情報管理の手段です。また,個人情報が漏洩し,不正アクセスやなりすまし等の違法行為が多発することは間違いありません。さらに,マイナンバー導入のためのインフラ整備には,初期費用だけで3000億円もの費用が必要とされており,税金の無駄遣いというほかありません。
昨年の10月にはいよいよ個人に12桁の番号を記した通知カードが交付され始めました。日本年金機構で125万件という大量の個人情報漏えい事件が発覚したこともあり、テレビや新聞などのマスコミも、この段階になってようやくマイナンバー制度の危険性について報道するようになっています。
昨年の12月1日に,全国で一斉に,プライバシー権侵害を理由として,国に対して,マイナンバー利用の差止め,保存しているマイナンバーの削除及び慰謝料等の損害賠償を請求するマイナンバー違憲訴訟を提起しました。大阪は全国の中でも最大規模の原告団・弁護団であり,私は弁護団の事務局長をさせていただいております。
是非,この裁判で違憲判決を勝ち取り,マイナンバー法を葬りたいと考えています。