堺総合法律事務所

 

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安倍政権による「壊憲」を許すな

安倍政権による「壊憲」を許すな

弁護士 井上耕史

一 歴代政府は,自衛隊は憲法九条に違反しないとしつつも,集団的自衛権(=自国が攻撃されなくても密接な国が攻撃を受けたら自国への攻撃とみなして共同して応戦する権利)の行使は憲法九条に反し許されない,としてきました。憲法九条が歯止めになって,自衛隊員が海外で一人も殺さず,また殺されずに今日まで来られたのです。

 しかし,安倍政権は,日本を米国とともに戦争をする国に変えることを狙い,集団的自衛権行使や多国籍軍への参加などを認めるべく,平和憲法に対する改憲策動を強めています。

二 第一は,明文改憲の策動です。

 昨年一月,安倍首相は,改憲手続を定めた九六条の改憲から着手すると国会で答弁し,九六条先行改憲を打ち出しました。この狙いは憲法九条の改悪です。衆参両院の三分の二以上の賛成という憲法現行九六条の改正発議要件をクリアする見込みがないから,発議要件を過半数に引き下げて,政権与党だけで改正発議を可能にしようというものです。「裏口入学」など国民的批判を浴びて現在は鳴りをひそめていますが,決して諦めたわけではありません。

三 第二に,解釈改憲・立法改憲の策動です。

 安倍内閣は,昨年八月,内閣法制局長官に集団的自衛権を容認する小松一郎氏を起用し,歴代政府の憲法解釈を破棄する地ならしをしました。

 また,政権与党は,昨年の臨時国会において,国民多数の反対にもかかわらず,特定秘密保護法を強行成立させました。同法案は,行政機関が一方的に秘密に指定し,情報を漏らした者や取得しようとした者を厳罰に処するとともに,情報取扱者の適性を評価すると称して,本人や周囲の人物を身辺調査するものです。戦前の軍機保護法・国防保安法,治安維持法の復活であり,国家安全保障会議(日本版NSC)設置法とセットで,国民に真実を隠して戦争国家体制づくりを進めるものです。原発・TPPなど国民の安全や生活に関わる情報も隠されます。

 さらに,安倍政権は,今年の通常国会に国家安全保障基本法案を提出して成立させることを企んでいます。同法案は,集団的自衛権行使,多国籍軍への参加,交戦権行使,軍事法制整備,軍需産業育成など,憲法九条に真っ向から反対する内容を国の基本法として定め,憲法九条を死文化させようとするものです。

 麻生副総理は,昨年七月,ナチス・ドイツによる立法での憲法破壊の「手口を学んだらどうか」と発言して世界中の批判を浴びましたが,まさに今,そのような憲法破壊の事態が引き起こされようとしています。

四 安倍政権による危険な「壊憲」を阻止しなければなりません。麻生発言とは逆に,真実を知り,国民の間で大いに騒いでゆきましょう。

 

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