弁護士 井上耕史
改憲狙う動き相次ぐ
憲法改悪を狙う動きが相次いでいます。
昨年四月,自民党は憲法改正草案を正式に発表しました。そこでは,憲法九条を改悪して「国防軍」を創設し,平和的生存権の削除など平和主義を実質的に否定するものとなっています。さらに,表現・結社の自由の制限など基本的人権の否定と国家権力の強化,天皇制を中心とした国家主義を打ち出し,憲法改正要件を緩和しようとしています。憲法の全面破壊です。
先の総選挙でも,安倍自民党は,改憲と国防軍創設を公約に掲げました。
維新も,政策集「維新八策」で憲法改正を掲げています。石原氏は憲法破棄や核武装を公言し,橋下氏も憲法九条非難を繰り返しています。
こうした明文改憲の動きと平行して,憲法違反の事態がなし崩し的に規制事実化されようとしています。
一昨年末,野田内閣は,官房長官談話の形で,武器輸出三原則等の抜本的緩和を打ち出しました。
昨年七月,野田内閣の国家戦略会議フロンティア分科会は憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めることを求めました。自民党は,現行憲法上,集団的自衛権の行使を可能とする国家安全保障基本法を制定するとしています。
最近の明文改憲・解釈改憲の動きは,日本を米国と一体となって海外で戦争をする国に変えようとするものです。同時に,東日本大震災・福島原発事故以後,非常事態を口実に一層の強権政治を実現するための国の仕組みづくりが狙われているのも特徴です。
原発推進ともリンク
改憲策動と原発推進との関係も注視する必要があります。昨年六月には,民自公などの賛成により,原子力利用目的に「安全保障」を付け加える原子力基本法の改悪が行われ,核兵器開発につながる危険が増しています。野田内閣,安倍自民党,維新の石原・橋下など,改憲論者は同時に原発推進論者でもあるのは偶然ではありません。
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今年は,改憲策動をストップすべく,皆さんと力を合わせて運動を強めていきます。
当事務所も参加する堺九条連絡会では落合恵子さんを招いての集いを開きます。また,改憲問題について詳しく知りたいなどの要望がありましたら,講師派遣などにも応じますので,お気軽にご相談ください。