弁護士 村田浩治
大阪地方裁判所第五民事部の別所卓郎裁判官は、ダイキン工業堺製作所において200人以上の労働者が契約期間が切れたという理由のみで雇い止めを強行したダイキンの行為について全く問題なしとする判決を下しました。
ダイキン工業堺製作所の臨海工場と金岡工場で20年以上働いていた青山さんを初めとする方々が、ダイキンの業績が全く悪くなく、当時は中東まで進出していた業績好調のときに、契約期間が終わったと言うだけで、200人以上もの首切りを実行したのは2010年6月のことでした。
日本の法律では、解雇は自由に出来なくなっています。これはもともと民法では解雇自由であった法律が裁判所の「解雇の濫用は許さない」という判例が積み重ねられて、ついに法律になったものです。ところが、企業の中には、解雇ではなく契約期間が終了するだけだという有期契約の場合は、この規定は適用されないとして、期間が一年とか3年の有期契約で人を雇って、期間がきたら終了させるという抜け道を作り出してきたのです。こうした抜け道も有期であっても繰り返している場合は正当な事由がなければ解雇出来ないという歯止めをかけてきました。ダイキン工業は、こうした制限も受けないよう予め契約書で「2年6ヶ月の上限を設ける契約書と就業規則をつくって、サインをさせて、約束しただろと居直ったのです。これは、解雇が制限されるという契約の抜け穴をつくる契約だから無効だと訴えたわけですが、別所裁判官は、制限する法律は無く、過去の判例はないとしてあっさりと会社の言い分を認めたのです。
これでは、企業の悪だくみはエスカレートしていき、大多数の社員を有期契約にするという企業が出てきかねません。労働者は長く働いてしっかり技能を身につけることも出来ず産業も衰退する危険性があると思います。このような判決をこのまま野放しにすることは労働者だけの問題ではなくなります。高裁でひっくり返すためにも控訴しましたので、多くの方のご支援をお願いします。