堺総合法律事務所

 

事件ファイル


ベルキッチン事件解決の御報告

弁護士 岡崎守延

2年前のニュースでお知らせした、青木美会子さんの「ベルキッチン」就労請求事件が、この間無事に解決しましたので、御報告します。

 もう一度、事件の内容を簡単にお伝えします。

 青木美会子さんは社会医療法人生長会(ベルランド総合病院を運営する法人です)が運営する調理施設「ベルキッチン」で働いてきたのですが、その勤務の中で、特に腕に過重な負担のかかる部署に集中的に配属されたことが原因で、両手腱鞘炎などを発症し、2008年(平成20年)5月に労働基準監督署で労災認定を受けました。

 青木さんは、労災疾病の治療の為の休職を経て復帰することとなったのですが、その段階になって法人側は、復職後の業務を引き続き腕に負担のかかる部署に配属させることを表明しました。

 青木さんは、堺労連堺地域労組の支援も受けながら、腕の状態に見合った職場への配属を求めて復職の交渉を続けたのですが、法人は一向に態度を変えませんでした。

 そこで青木さんは、2009年(平成21年)2月に、法人の就労拒否を理由として、未払給料の支払を求める訴訟を提起し、合わせて適正な業務への配属を求めました。

 裁判所は、証人調べをするまでもなく、法人側の対応に合理性がないとの意見を示し、法人に対して、早期に青木さんを適正な業務へ配属させることを強く促しました。

 この結果、2011年(平成23年)5月から、青木さんの適正業務への復帰が実現しました。

 その後裁判所では、未払の給料支払額の交渉が続き、これも同年10月までに、法人が青木さんの要求を基本的に受け入れる形での和解が成立し、これによって全ての紛争が解決することになりました。

 今回の解決は、青木さんの労災による障害の状況に見合った職場への復帰を実現させると共に、法人の就労拒否期間中の未払賃金も支払わせるというもので、ほぼ完全勝訴の内容の解決となりました。

 この解決は、粘り強く要求を堅持し続けた青木さんの頑張りは勿論のこと

、青木さんを支えた堺地域労組の力に拠るところも大きかったと思います。

 

                              以   

 

 


 
 
 
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