堺総合法律事務所

 

事件ファイル


「国民監視のシステムを許すな!マイナンバー法・秘密保全法とは」

弁護士 辰巳創史

・ マイナンバー法とは

マイナンバー法は,すべての国民に対し,税と社会保障に関わる各行政分野に共通して利用される識別番号(共通番号)を付番し,国民に関する情報の名寄せ・統合(データマッチング)を促進し,あわせて本人確認を行う制度を創設するものです。この法でデータマッチングの対象となる情報は,市民生活の全般に及ぶ極めて広範囲にわたるものであり,政府は,個人に付された番号により,住所,氏名,年齢のみならず家族構成や病歴,収入や資産なども,一望して管理することが容易になります。

マイナンバー法は,政府による個人情報等の一元管理化を強め,憲法13条の保障するプライバシー権を侵害し,監視国家を出現させるものです。また,個人情報が漏洩し,不正アクセスやなりすまし等の違法行為が多発する危険もあります。

・ 秘密保全法とは

秘密保全法は,①国の安全,②外交,③公共の安全及び秩序の維持の3分野において,行政機関が特に秘匿を要すると判断する秘密を「特別秘密」と指定することができるとされ,指定に対する第三者のチェックもありません。このため,政府にとって都合の悪い情報が,隠ぺいされるおそれが極めて高いといえます。

また,「特別秘密」の概念が広範かつ曖昧であるため,これを漏洩する行為を処罰する規定は罪刑法定主義に反することはもちろんのこと,マスコミの取材活動,報道活動に対して及ぼす萎縮効果は,計り知れません。

さらに,秘密保全法制では,「特別秘密」を取り扱う者の適性評価制度が導入されており,政府機関は,その者の家族関係,通院歴など重大なプライバシーにかかる事柄や思想・信条にかかわる広範な情報まで調査ができることとされています。

・ 国民監視のシステムを許すな!

  このように,政府はマイナンバー法によって,政府が知りたい国民の情報を自由かつ容易に取得しつつ,政府にとって都合の悪い情報は,秘密保全法によって隠ぺいしようとしています。マイナンバー法と秘密保全法は,まさに国民監視のシステムを創設する2点セットです。法両案の成立は,決して許してはいけません。

  マイナンバー法案は,2012年2月14日に国会に提出されましたが,衆議院の解散により,廃案となりました。また,秘密保全法は,2012年の通常国会に提出される予定でしたが,見送られました。

しかし,政府は両法案の提出を断念したわけではありません。

これからも,両法案に対する反対の運動を強めましょう。

 


 
 
 
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