弁護士 辰巳創史
2010年10月29日,恒例となっている当事務所主催の秋の勉強会として,日ごろからお世話になっている依頼者の方々をお招きして,大阪府政のこれまでと今後を検証する勉強会を開催しました。
橋下知事登場から3年間と今後
メインの講師として,大阪府政に造詣の深い大阪府関係職員労働組合の橋口紀塩さんをお招きして,「橋下知事登場から3年間と今後」というテーマで1時間にわたってお話いただきました。内容は,盛りだくさんで,とても詳細には書けませんが,タレントとして抜群の知名度を持つ橋下徹氏が知事となって,私学助成の削減,センチュリー交響楽団の補助金の廃止,国際児童文学館の閉館,高齢者・障害者への支援事業削減,府立病院への補助金削減など,文化教育や府民生活に直結する福祉分野を徹底的に切り捨てる,他方でシャープへの補助金や阪神高速大和川線などの大型開発は温存・推進するという「強きを助け,弱きを挫く」という知事の姿勢が明らかとなりました。また,橋下知事の今後の戦略として打ち出している「財政構造改革プラン(素案)」の内容も解説いただき,知事が,異常なまでに高い支持率に支えられながら,今後もさらなる府職員の人件費削減や府民施策や施設の切り捨てを計画していることがわかりました。
橋下知事の政策が府民生活に与える影響~現場の声
さらに,橋下知事の政策が,府民生活にどのような影響を及ぼしているのか,現場の声を聞かせていただきました。障害者(児)を守る全大阪連絡協議会(障連協),大阪商工団体連合会,堺市生活と健康を守る会から,それぞれ障害者(児),中小企業,生活保護受給者といったまさに弱い立場に立たされている人たちが,橋下知事の施策によって,さらに苦しい状況に追い込まれていることを切実に語っていただきました。今回の勉強会は,「現場の声を聞く」ということがいかに大切かを改めて認識する場となりました。
シャープへの公金支出をただす住民訴訟
また,大阪府や堺市が,シャープに巨額の公金を支出していることに対し,その差し止めと返還を請求している「シャープへの公金支出をただす住民訴訟」の弁護団から,住民訴訟の概要の説明があり,あわせて原告から支援の訴えもなされました。この住民訴訟は,私も弁護団の1員として参加していますが,大阪府と堺市による補助金支出,不均一課税といった大企業優遇策に公共性がなく,違法であることを正面から問う裁判です。「シャープへ立地への公金支出をただす会」はゆきすぎた大阪府や堺市のシャープ等への補助金,税減免に対する住民訴訟原告団とそれを支援する市民から構成されています。訴訟の原告となっていなくても,サポーターとして気軽に参加できますので,是非入会をご検討下さい。
勉強会には,日本共産党の芹生幸一大阪府議会議員と岸上しずき元大阪府議会議員にもご参加いただき,ご挨拶をいただきました。その中で,圧倒的な支持率を誇る橋下府政の下でも,日本共産党がその値打ちを発揮して果敢に立ち向かい,府民生活の前進を勝ち取ったという報告がありました。
統一地方選で住民のための政治をとりもどそう
今回の勉強会で,橋下府政の目指すものが「強きを助け,弱きを挫く」ものであることが明らかになりました。その意味では,今度の統一地方選挙は,「強気を助け,弱きを挫く」政策がいいのか,それとも「府民・市民が主人公」の政策がいいのか,を選択する重要な選挙となります。今回の勉強会とは別に,当事務所では,日本共産党堺市議会議員団及び同府議会議員団と懇談会をもち,意見交換を行いました。そこでも,橋下大阪府政,竹山堺市政ともに府民・市民生活を犠牲にして大企業を優遇する政策をとっていること,日本共産党議員団は,何とかしてこれに立ち向かい,府民生活の前進を勝ち取ること,そのためにも統一地方選挙をがんばり抜くとの意見が出ました。
当事務所では,堺の誇るべき「自由都市」の伝統を引き継ぐことを目標にして,働く人々の権利や民主主義,憲法や平和を守る活動に取り組んできましたが,今回の勉強会を機に,よりよい府政・市政づくりにも取り組んでいきたいと思います。